男と女のQ&A【親子編】「息子の結婚に親が口添えして何が悪いんですか」

【Q】
38歳で未婚の息子、バツイチで2人の子どもがいる34歳の娘、娘が1人いて結婚している28歳の息子の3人の子どもがいます。私自身は、現在夫と2人で幸せな生活を送っています。子育てに専念していて再婚する気持ちになっていない娘のことはあまり心配はしていませんが、結婚したことのない長男が気がかりでなりません。2年ほど前「子どもほしいだろ?」と訊いたら「子どもはいつだって作れるよ」と答えたので、誰か相手がいて結婚も近いのかなと期待したんです。ところがそれっきり。先日、1年ぶりくらいに家に顔を出したのでさりげなく訊いてみたら、付き合っている女性がいるって言うんです。家を行ったり来たりしているみたいなんで、果物とか、お菓子とか、「彼女にあげて」と息子に4、5回送ったんです。そしたら、電話で「何考えてるんだよ!付き合ってるのはお母さんじゃなくて僕!」と怒鳴られてしまいました。もうそろそろ年齢的に限界だし、私の周りには、お母さんが口添えして結婚させたっていう人がたくさんいるのに…
 
【A】
立派ですねぇ。38歳のご長男。あっぱれ、おっしゃる通りです。「付き合っているのは、お母さんじゃなくて僕!」です。その通り。お見事という他ありません。その女性と交際しているのはご相談されているお母さんではなく、ご長男なんですから。余計な差し出口は無用。百害あって一利なしです。
 
心理学的にもドクターフロイト(1856~1939)が、精神分析理論の中で100年前に提唱したように、人間は「潜在意識(無意識とも言う)の部分が大きくて、顕在意識の部分はほんのわずかである」ということなので、まるで馬という潜在意識に乗っている御者のようなものだと考えてもいいでしょうか。その馬のように大きな潜在意識は幼少期につくられると言われています。38歳になった今、自分以外の他者から指示命令されると、自分の生き方を邪魔された気がして、指示命令された逆のことをしてしまうことがよくあります。
 
もしかしたらご子息は「そろそろ、彼女を母親や家族に紹介してもいいかな」と無意識の部分では考えていて1年ぶりくらいに家に顔を出し、付き合っている女性がいると言ったのでしょう。せっかく、そういう感じになっていたのに、母親であるあなたが余計なことをしたので、カタツムリが殻から頭を出したら、その頭をツンツン突かれた気がして、又、殻の中に頭を引っ込めてしまいましたよね。
その上、「年齢的に限界」とおっしゃっていますが、子どもの授かる年齢ですか?それとも、38歳で独身では、昔「男やもめにウジがわく」と言っていたように、その年になって嫁に来てくれる人もいない息子を持つはずかしい母の限界ですか?そのどちらも、もう古いですよね。医学的にも、社会的にも、8050問題にはまだ間がありますし、そもそも、恋愛や結婚という人の心の中核をなす、繊細でナイーブで、ひとりひとり価値観の異なるはずのものに「年齢的にも限界」と言っているあなたの考えを改めてほしいものです。
 
さらに子育てに専念している娘さんは、心配していないという、その心は、女性はシングルでも子育てをしていればよくて、男性である長男は、その年齢には子どもの2、3人もいて妻や子を養ってこそ男というもの!という古いジェンダーギャップがあるのではないです?
どうぞあなたの古い固定概念を見直して、ご長男をそっと見守ってあげてください。
第164回

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