男と女のQ&A【子親編】「子どもができないうちの同居は無理」

【Q】
29歳で結婚して、3年経ちました。夫は3歳年上で、現在35歳。一人息子なので、将来両親と同居するということを前提とした結婚でした。両親ともまだ60代ですが、義父が軽度の心筋梗塞を患ったこともあり、そろそろ同居してほしいと言われました。今の住まいの整理もあるので、まだ同居はしていませんが、同居の準備というか、両親との生活に慣れるために、ちょくちょく泊まりに行くようにしているんです。泊まりに行くと必ず言われるのが子どものことです。結婚して3年ですから、両親の期待は分かります。私も子どもはほしいと思いますが、今のところ「もしできたら産もう」という程度のスタンスなんです。ところが、私の顔を見るなり「まだできないの?」と言われるし、食事の時はほぼ妊娠、出産、子育ての話です。同居は嫌ではなかったのですが、ここまで子どものことを言われると気が重くなり、同居は無理なんじゃないかと思うようになりました。
 
【A】
厚生労働省が2018年6月1日に発表した人口動態統計によると、2017年に生れた子どもの数(出生数)は前年より3万人余り少ない94万6060人となり、過去最少を更新しました。
 
一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.43と2年連続で低下しています。全国で最も出生率が低い東京都はさらに下げていて、仕事と育児の両立環境に課題を抱えていることが浮き彫りになっています。さらに女性の人口そのものが減っていて、出産可能期とされる15歳~49歳(8割の女性が25歳~39歳で出産しています)の女性人口は2498万人と前年より1.3%減になっています。
 
この統計からするとあなたは出産適齢期でもあり、もし仕事を続けたい希望があれば、ご両親が孫の出生を待ち望んでいるわけですから、仕事と育児の両立環境の課題もクリアしていると思われます。ですが、ご自身もまだ32才、夫も35才という年齢、子どもは欲しいけれど「もしできたら産もう」という程度のスタンスとのこと。同居の準備で泊まりに行く度に「まだできないの?」と言われたり、食事の時には、ほぼ妊娠、出産、子育ての話。ここまで言われると気が重くなり、将来、同居を前提として結婚したのに、同居も無理!?と思うようになってしまっているわけです。
 
これは、心理学上もっともなことなんです。精神分析理論の創始者であるジークムント・フロイト(1856~1939)は、人の性格を構成する機能は何であるか、それぞれの機能はどういう関係にあるかを「性格構造論」の中で述べています。その一つに「防衛機制」という観点があり、人は自分を守るためにいくつもの方法で他者からの侵入を阻止していると言っています。世の中に「防衛機制」を持たない人はいないとも言っています。
 
ですから、せっかくあなたは、「同居」するつもりだったのに、義父母から妊娠、出産のことで圧力をかけられているため、「できたら産もう」と思っていた気持ちを傷つけられ、「同居」さえ「無理」と思うようになってしまいました。とても残念なことです。本来、妊娠にまつわることは、夫婦にとってとても大切で、二人の深い愛に裏付けられて進む事柄ですから、いかに孫を待ち望んでいる義父母であっても介入すべきことではありません。
ただ、今後のことを考えるとケンカごしで、あるいは夫から両親に文句を言うというのもいい方法ではないと思います。
 
今日、私に相談されたままの気持ちを穏やかに義父母に話してみてはいかがでしょうか。
第165回

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