男と女のQ&A【職場編】「エアコンで冷えるのに“スカートでないと”って何で?!」

【Q】
入社して2年目、主に不動産を扱っている会社で総務部に配属されています。1フロアに総務、企画開発、経理、営業など、いくつかの部署があり窓口業務もあります。顧客との直接対応があったり、直接対応がないにしても背の低いパティションがあるだけなので、役所みたいに訪れた人からは社員は丸見えです。そんなようなので、服装を管理されるのも仕方ないとは思うんですが、女性だけに制服があって、その制服がタイトスカートにジャケットです。男性はスーツですから女性もそれに準じているっていうのは分かりますけどパンツがないのは…。この時期、外からいらしたお客様や外営業から戻った社員は汗だくで入ってきますから、エアコンはガンガン。なのにストッキングは厚手のものはダメで、膝掛けでは対応しきれないんです。外に出た瞬間、暑いと感じるよりむしろ冷えた身体が温められてホッとするほどです。女子社員何人かで上司にパンツも作ってほしいと何度かお願いしたんですが「女子の制服はスカートでないと…」と取り合ってくれません。
 
【A】
3月16日(土)の朝日新聞夕刊文化面に「少女漫画が問う 女性の現実」とういう見出しで「元アイドルが主人公の“さよならミニスカート”」と副題のついた記事が掲載されました。この漫画は作者の牧野あおいさんが「高校の時に先生から“スカートを短くしていたら痴漢にあうぞ”と言われて“何で被害者側が責められるのだろう”と理不尽に感じた」経験から「こうだったらいいのに」とうい思いを描いたものです。
 
主人公の女子高校生仁那は、同級生の男の子が「スカート、男に媚び売るためにはいているんだろう!」「(変質者に)触られて当たり前」と言うのを聞いて腹が立ち、髪を短く切り、スラックス姿で学校に通い、「スカートはあんたらみたいな男のためにはいてんじゃねえよ」と返します。小学生などの少女向けの月刊漫画誌「リボン」(集英社)に「さよならミニスカート」というタイトルで昨年の9月から連載が始まりました。「この漫画に無関心な女子はいても、無関係な女子はいないー」とうい宣伝文句を付けて。
 
連載直後から、ネット上には「気持ちを代弁してくれた」「リボンを読んでいたあの頃の私に読ませたい」などと共感の声が広がり、リボンは作品のホームページを開設して相田聡一編集長(43才)が「連載の面白さが伝わるまで、連載をし続ける覚悟」という異例のコメントを出しています。まだまだある無意識の役割や偏見に向き合う姿が反響を呼んでいるとうい内容でした。
 
追いかけるように7月の記事では「♯KuToo 変わる常識 職場のヒール見直しの動き」というタイトルで女性が職場でヒールのある靴を履くよう強いられることに異を唱える「♯KuToo」運動の広がりが報道されました。各業界でこれまでの常識を見直す動きが出てきたと書かれていました。
 
日本航空や全日空など大手航空会社はCAの服装について「黒のパンプス、ヒールの高さ幅3~5」と定めています。車椅子の乗客に付き添って坂を下る時は、後ろ向きで進むと決められているそうですが、靴が安定しないため危険を感じることがあると言います。航空会社によっては、スニーカーを採用するところも出てきたと報じています。アパレル企業で働いていた女性は、指定されたヒール15cmの厚底ブーツで店頭に立っていて巻き爪になり、手術を受けたがそれでも「自分の足が悪いんだと思い込んでいた」と語っています。
 
すべての女性が同じスカート、同じ靴という意識を変える時がやっと訪れました。まだブランドショップの売り場などでは、「診断書を出せば指定の靴でなくてもいい」という程度の変革ですが、あなたもたくさんの仲間がいることを信じ、上司に「冷えた足腰を痛め働けなくなれば管理責任を問われるかも」などと訴え続けてください。
第166回

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