Q.
1年ほど前、親友の結婚式で彼と知り合いました。彼は8歳年上の36歳、今では結婚も考えるようになったのですが、どうしても引っかかることがあります。それは、彼の育った環境や今の生活と私のそれとがあまりに違いすぎることです。彼の実家は豊かで大きな家に住み、一家全員が一流大学出のエリート。それに比べて私の実家は貧しくて小さなマンション暮らし、私はかろうじて大学は出ているものの両親は田舎の高校卒。“玉の輿”とも言えなくはないけれど、彼のご両親が私や私の両親のことをどう思っているのか、本当のところは分からないし、彼とデートをしていても、身の縮む思いで、一流レストランで食事をしても美味しいなんて感じる余裕はなく、家に戻るとぐったりしてしまいます。周りはうらやましがるんですが、最近は彼との関係を苦痛に感じることもあります。彼は優しい、非の打ち所のない男性なのですが、格差による苦痛に耐えられなくなるのではないかと不安でしかたありません。
A.
昔から「釣り合わぬは不縁の元」と言って「格差婚」はまあ、うまくいかないことが多いと言われています。「玉の輿」に乗ったように見えてもそれは実は「茨の道」だったということもよくあることです。
さて、あなたが不安に思って「彼との関係を苦痛に」感じ、いずれ「耐えられなくなるのでは?」と不安に思っている、でも別れてしまうには「彼は優しく非の打ちどころがない」男性だから、何とも勿体ない、どこでどうしたらいいのだろうと悩んでのご相談です。
もし、あなたがこの格差の不安を乗り越えて結婚、もちろん、結婚とはその人と同じ人生を共有する、ということですが、したいという思いが強いのであれば、以下の2つのことができるかどうか自分に問うてみてください。
1つ目は『相手の価値観を尊重できるかどうか?お互いの違いを認め、よく話し合って2人の人生設計をすり合わせる努力ができますか?』ということです。
お互いの違いの中には①金銭感覚、何にお金をどう使うか、どういう分野にお金を使っていこうとしているか?②教育観、子どもをどう教育するか?塾や家庭教師にお金をかけるか、学校外の体験を重視するのか等③自我の成熟度、自己肯定感、自己効力感の違い、適切な自己肯定感が育っていないと自分の価値観を確認しようとして強い嫉妬心や相手を束縛してしまう④日常生活での態度、マナーやモラルの違いを許容できるか?許容範囲を超えていれば、先へ行く程、お互いが耐えられなくなり離婚の原因になります。使う言葉(敬語が使えるか相手をどう呼ぶか)、食べる時に音を出す、すぐ切れる、人の陰口を云う等々、この4番目は割と大人になってからでも、自覚して努力すれば変えられるものです。資質も必要ですが「品性」は努力で変えられます。
もしあなたが何とかこの「格差」の不安を乗り越えたいと願うなら、2つ目に自分に問うてほしいことは「相手のために自分はどう変化できるか?」そして、もっと大切な自分への問いは「自分はどういう生き方をしたいのか?」という問いかけです。「格差」があることを「自分がその格差を受け入れられるか」という問いでもあります。もちろん、卑屈になるのではなく、彼と対等の立場で、という意味です。金銭的に豊か、偏差値の高さは幸福度と比例するものではありませんから。彼も格差を感じていないわけはないのでしょうけれど、少なくともあなたの話からは、彼は格差を乗り越えているようにも思われます。格差を乗り越えられていないのはあなただけでは?まず、あなたの中にある差別意識(もしかして、自分より劣っているものを見下したりしませんか?)をなくしましょう。
ただ、もし、彼があなたに教え諭したり、経済的な優位差を利用して、少しでもあなたに忍耐を強いるようなことがあれば、格差を乗り越えるのは難しいので、そういう場合は、すぐに別れることをお勧めします。
第172回