男と女のQ&A【夫婦編】「風俗バイトがばれた?」

【A】結婚して6年です。夫とは、アルバイトをしていたスナックで24歳の時出会って、1年後にでき婚しました。5歳と3歳の子どもがいます。下の子が1歳になったのを機に、2人を保育園に預けてフルタイムで働き始めたんですが、家賃と光熱費、保育料、車のローンや維持費など、毎月決まって出て行くお金を差し引くと、2人の給料では足りません。仕方なく、勤めていた会社を辞め、週に4日、デリヘルで働くことにしました。出勤日も自分で決められるし、それまでより時間も半分くらい、しかも収入は倍以上になったので、しばらくこれでやっていこうと思っていたんですけど、洋服を2着といつもより高めのコスメ用品を買ったことで、夫から問い詰められてしまいました。デリヘルで働いているなんて言えないので、適当にごまかしたり、黙って夫の勢いが弱くなるのを待ったり…。なんとかその場は繕ったものの、学生時代にキャバクラでアルバイトをしていたことを知っている夫は、風俗バイトをしてるんじゃないかと強く疑っていて、私が隙を見せたらスマホを覗こうとしているみたいなんです。
 
【Q】
「風俗バイト」に対するハードルの高さは、人により大きく異なります。多くの女性にとって大変高いハードルですが、あなたの場合、「学生時代にキャバクラでアルバイトをしていた」ということもあり、多くの女性より低いということでしょう。性の営みに対する価値観を単純に善悪で述べることはできないので、個々の持つハードルの高さと言っているわけですが、「風俗バイト」には、他の一般的な職業に比べて、大きなリスクを伴うということは、しっかり考えなければなりません。妊娠はもちろん、エイズや梅毒、淋病などの性感染症、犯罪に巻き込まれる可能性の高さなど、数倍、数十倍ものリスクを伴います。しかも、それがあなただけでなく、あなたを介して家族に及ぶ危険もあります。また性行為は、夫からの離婚の申し立て理由にもなります。あなたは、お金のことを中心に考えているようですが、そういったリスクも充分に考える必要があります。
 
ハサミムシという虫をご存知ですか?尾の先についた大きなはさみが特徴で、このハサミを振りかざして、敵から身を守ったり、獲物を捕まえたりします。人間が石をひっくり返すと、石の下に身を潜めていたハサミムシがあわてふためいて逃げ惑いますが、中には逃げずに勇敢にハサミを振り上げて威嚇してくるハサミムシもいます。見ると、そのハサミムシのそばには、産み付けられた卵があり、母であるメスのハサミムシは大切な卵を守るために、逃げることなくその場でハサミを振り上げるのです。そして冬を越して春に卵がかえるまでの40日から80日もの間、餌を捕ることもなく、飲まず食わずで卵に体を覆いかぶせ、時には卵にカビが生えないように1つ1つなめたり、空気にあてるために卵の位置を動かしたり、ずっと卵を守り続けるのです。
 
やっと待ちわびた子どもたちが誕生しても、孵化したばかりの幼虫は獲物を捕ることができず、甘えてすがりつくかのように母親の体に集まっていき、なんと子どもたちは母親の体を食べ始めます。母親は逃げるそぶりも見せずむしろ子どもたちに腹のやわらかい部分を差し出す様子がよく観察されるそうです。(参考・稲垣栄洋「生きものの死にざま」)
生物の進化はそれぞれの種によって異なりますが、動物にとって次の世代を残すことは重要な仕事であり、生きとし生きるもの全ては限られた命を懸命に生きて、種の保存をしてきました。
 
あなたには子どもたちを育て、家族を守ろうとする強い決意がおありですが?洋服を2着と高めのコスメ用品を買ったことで夫から不審に思われ適当にごまかしているとのこと。とてもお子さんや家族を守るための行動とは思えません。ご自身にとって何が1番大切で、誰が1番大事な人なのか、しっかり考え直し、何のために生きるのかを見つめ、考え直すことをおすすめします。
 
売春の歴史は最古の例の1つは紀元前の古代オリエントにおけるものであり、売春は世界最古の職業と言われたりもします。日本では10世紀の初め頃、遊女や白拍子といった人たちが、婚姻制度が対偶婚(単所双方の気の向く間だけ関係が続き)から排他的持続的な単婚制へと移行したのに応じて、男性が女性のセックスを金で買うという行動が広がったものと言われています。近世では貧しい女性が家族のために劣悪な環境で働かされ、多くの遊女たちが若くして命を落としていった歴史もあり、1956年に売春防止法が制定され、その流れに一応の終止符を打ったという歴史があることも申し添えます。
第173回

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