男と女のQ&A【親子編】「娘が年上の男と付き合ってる?!」

【Q】最近、高校2年生の娘の様子が変なんです。1日何度もお風呂に入ったり、何やらサプリメントのようなものをインターネットで注文したり、お小遣いで買えないような服を着ていたり…。娘と話をしていると、時々年上の男と付き合っているようなことをほのめかすんです。はっきり聞いてみようかとも思うんですが、嘘をつかせるのもどうかと思うし、逆に本当のことを言われても、対応に窮してしまうのは分かっているので、簡単に聞くわけにもいかず困っています。娘が外出している時に部屋を探ってみましたが、新しく買ったらしい下着やコンドームは見つけたんですが、付き合っている相手は分かりません。「成人男性が高校生と付き合うと警察に捕まることもある」と話してはおいたんですが…
 
【A】
「成人男性が高校生と付き合うと警察に捕まることもある」とあなたが母親として娘さんに話されたのは「青少年保護育成条例」のことですよね。これは地方公共団体の条例の一つで、青少年保護育成とその環境整備を目的に地方自治体で公布した条例の統一名称なので都道府県、市町村により正式名称や内容に多少の違いがあります。東京都では1988年と1997年の2度、都議会に提案されたのですが否決され、2005年にやっと可決されました。
 
この条例では18才以下の青少年と成人の男女が「淫行」「わいせつ行為」「みだらな性行為」「みだらな性交」を行うことを処罰規定としているのです。そもそも「淫行」「みだらな性交」とは何か?1985年、最高裁では「心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交または性交類似行為」「単に自己の性的欲望を満足させるための対象」として条例違反とするという判例があります。合意の上の性行為は処罰にはなじまず、自発的な性行為や売買春ではない性行為を規制する条項はなく、婚姻可能年齢を女子16才とする法律とも矛盾が生じ、未だに議論のあるところです。婚約をしてまじめに交際をしているカップルはどうなのか、男女共に18才以下の場合行為者が青少年ということで罰則適用しないということなど、問題は山積です。
「性行為は何才からなら行ってもいいか?」などという基準から考えるのではなく、あなたの娘さんの「恋愛」、「恋愛まがい」の交際が娘さんの心身に傷を残すことにならないかどうかということが一番大切なことです。
 
コンドームを持っているとのことなので妊娠やエイズのことは自分でも気をつけているようですが、人を愛することの素晴らしさと苦しさを娘さんが深いところで葛藤しているか、年上の男性との「性」の接触がただめずらしく、刺激になっているのか、など、そっと見守りながら、母親として問い詰める態度ではなく、話を聞くようにしてはいかがでしょうか?新しい体験に、きっと心も身体も悩んでいることはたくさんあると思います。「嘘をつかせるのもどうかと思う」とおっしゃっていますが、「お小遣いで買えないような服を着ていたり…」とあるのが気になります。その辺りはまっすぐに尋ねてみる方がいいと思います。援助交際のような関係は心身に危険ですし、それこそ青少年健全育成条例の違反・処罰規定でもありますから。
第174回

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