男と女のQ&A【子親編】「義母からいきなり同居を言い出され…」

【Q】
結婚して30年、子どもたちも独立して、ようやく楽になるかなあと思った矢先、義母から「同居を考えてもらえない?」と言われました。夫は長男なので覚悟はして結婚したんですが、「負担だろうから同居しなくていいよ」と義父母が言ってくれたので、同居は考えていませんでした。2人で施設に入る話もしていたので安心していたんです。ところが突然同居の話なので…。義母が言うには、ヘルパーを頼んでいたんだけれど、義母の見ていないところで義父がヘルパーさんの身体を触ったり、卑猥な話をしたりしたと言うんです。ヘルパーの会社から電話があって、こういうことが続くと伺えなくなると言われたんだそうです。義母はもし施設に入って同じようなことがおこるとしたら、いたたまれないし、施設を追い出されるのではないかと思ったらしく、同居を考えたらしいんです。義父はそんな人に見えないし、認知症というわけでもないと思うので、もし二人で生活するのが大変なようなら、2人で入れる施設に入ってくれるのがいいと思うのですが、どう話したらいいか困っています。
 
【A】
今年の総務省の発表した推計人口によると、70才以上の人口は2618万人で総人口に占める割合は20.7%、初めて2割を越えたとの事です。超高齢化社会への早急な対応が迫られる現状が改めて鮮明になった年でもあります。この年齢層の方達は1947~49年生まれ「団塊の世代」と呼ばれ戦後生まれで、必死に働いて今の日本を復興に導いた人たちでもあります。しかし、あなたのように、介護、介助などの支援が必要となってくる年齢でもあります。
 
社会的にも高齢の運転の車が逆走して罪のない方が命を落としたり、ブレーキとアクセルを踏み間違えて大事故を起こしたりと、車の事故だけでも枚挙にいとまがありません。免許の更新に高齢者の認知症の検査が厳しくなってはいますが、事故が防げないのが現状です。あなたのお宅では、義父のヘルパーさんへの性的接触や卑猥な話で困っていらっしゃるわけですが、現役時代には全然そういった行動のない方が突然そうした行動に出るようになったとすれば、充分、認知症の疑いがありますので、今すぐ同居とか施設とかを決めるのではなく、まず義父の行動、言動をヘルパーさんやその事務所の人におわびがてら確認してみてください。
 
嫁の立場のあなたではなく、息子であるあなたの夫の出番です。妻であるあなたに「負担だから長男だけれど、同居はしなくていいよ」と言ってくれた男性ですからそのくらいのことはやってくれるでしょう。それと同時に早急に同居してほしいという義母の不安な気持ちを夫婦2人でゆっくり、しっかり聞いて上げてください。
 
先にあげた「運転免許」の返納の場合、多くはご家族が大変な思いをして奪うように返納させていますが、お義父様のようなヘルパーの体を触ったり、卑猥な話をするようになった夫を見たり聞いたりするのは長年そんなこともなく2人で人生を乗り越えてきたお義母様には、人生の最後で何とも悔しくやり切れないお気持で怒りや不安で冷静ではなくなっていらっしゃることでしょう。お義母様の愛情が不足していたとかいう問題とはまったく別のことですので、お義母様を責めたりせず、あなたがたご夫婦で受けて止めて上げつつ、認知症の診療にお義父様をお連れください。「健康診断」と言うのが通りやすいようです。
そして診断の様子で同居をしても嫁のあなたに同じ問題が起る可能性も大きいので、訓練を受けた専門家のいる施設入居も視野に入れてご相談ください。施設にも有料老人ホームをはじめ特養「サ高住」と呼ばれるサービス付高齢者向住宅、医療管理下で入居できる介護老人保健施設(老健)、軽費老人ホーム(主に自立あるいは要支援の高齢者が比較的少ない費用で入居できる)等々、お義父様の症状と経済的な状況を考えて、ケアマネージャーも交えて相談してください。まずはお義母様の気持ちを聞き支えることが一番です。
第175回

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