男と女のQ&A【子親編】「コロナ禍でも男性と会うために外出をやめない母」

【Q】
父が他界して83歳の母が1人暮らしをしています。車で10分ほどのところなので、特に問題もなく、ヘルパーさんに来てもらったり、デイサービスを利用したりして、楽しく生活しているみたいでした。
 
新型コロナウイルスの感染が怖いので「落ち着くまで休めば」と話したんですが通い続けていました。ところが施設からしばらく休業する旨の連絡をもらいました。私はホッとしたんですが、母は家にいるのが嫌らしく、デイサービスは週に2日だったのに、休みになってからは毎日出かけるようになったんです。どこに行っているのか聞いてもまともな答えが返ってこないので、先日後をつけてみたら、デイサービスに一緒に通っていた男性と喫茶店でお茶してるんです。喜んでデイサービスを利用していた理由がよくわかりましたが、時期が時期だけに外出はさせたくないので困っています。母も感染リスクは十分承知しているはずなのに、相手が男性だとまともな判断力が働かないんでしょうか。
 
【A】
今日の朝日新聞朝刊には「デイサービス休止 不安と焦り」という大きな見出しが載り「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、名古屋市が一部地区の全デイサービス事業所に休業を要請して間もなく2週間。独居や老老介護の高齢者への支援をどうするか。感染予防は。介護現場の対応は割れた」「名古屋市、126カ所に休業要請、割れた対応」「独居で入浴や食事が難しい人に限り(1日3~4人)サービスを続ける」「区社協の内山和美事務局長は「多くの家族から『デイに行かせたい』と要望があるがあまり大勢だと感染予防の趣旨に反してしまう」と苦悩する」「家族、リハビリの早期再開を」等々の記事が紙面一面に綴られています。
 
そしてその横には、日本老年医学会理事で東京大学教授の飯島勝矢さんの「外出控える高齢者、衰え防ぐには 動かない時間減らす」という見出しで「テレビばかり見ている、誰かと話すこともない - そんな日々を続けていると筋肉が減り、フレイル(虚弱)が進みます。免疫力や抵抗力、体の回復力も落ちます。2週間の寝たきりにより失われる筋力は7年間分の量に匹敵する」「まず、動かない時間を減らすことが大切です」「人と交流して話すことはとても大切で認知機能の衰えを防ぐことにもつながります」という記事があり、「人混みは避けた方がいいですが」「大勢が集まる機会が減る今こそ、家族や友人、近所の人らで支え合ってください」と結んでいます。
 
長々と新聞記事を引用しましたが、要するにあなたのお母様は新型コロナウイルス感染防止のため休止になったデイサービスの苦境を、日本老年医学会理事の飯島先生の提言通り実行していらっしゃることになります。そして「恋」はすべてを燃やし尽くすほど強く体内のホルモン分泌を活発にすることも医学的にエビデンスのある通りで、そのホルモン分泌はまさに免疫力、抵抗力をつけ、コロナウイルスに対抗できること間違いありません。
 
心理学的に申し上げるなら、お母様は好きな男性と一緒にいる、お茶を共にする、話をする、等の行動によって、多幸ホルモンと呼ばれているオキシトシンの分泌が活発になり、免疫力、抵抗力を増していると言えるでしょう。このホルモンは幸せホルモンと言われる如く、生きる喜びを湧き出させてくれます。
 
「喫茶店でお茶」「母も感染リスクは十分承知」とのこと、お母様も人混みは避けたりして感染予防には気を遣ってらっしゃることでしょうから、むしろお母様の「恋」を暖かく見守ってあげてはどうでしょうか。もしかしたら、あなたは外出による感染の心配より、お母様の「高齢の恋」に違和感、嫌悪感を抱いていませんか。
第180回

ページ上部へ