男と女のQ&A【恋愛編】「私より両親の方が安心?」

【Q】
緊急事態宣言で出勤は週1回、あとは自宅でテレワークになったので、ほとんど外出をしなくなりました。一人暮らしで不安です。今のところ、新型コロナウイルスに感染したような症状はありませんけど、どこで感染するかわからないし、知らないうちに感染していて、もし高熱が出て動くことも大変ってなったらどうしようって、ずっとそんなことばっかり考えちゃうんです。2年間付き合っている彼がいるんですけど、彼は両親と一緒に暮らしていて、家族中感染っていうリスクはありますけど、一人じゃないので私みたいな不安はないみたいなんです。彼の両親にも何度も会っていて、結婚にも賛成してくれているので、一緒に暮らそうって彼に言ってるんですけど、半年くらい前は一緒に暮らしてもいいようなこと言っていたのに、今はその気がないみたいなんです。こういう時は、私より両親と一緒の方が安心っていうことなんですかねえ。
 
【A】
せっかくご相談いただいたのに、こんなことを申し上げるのは酷かもしれませんが、お二人の恋愛は「新型コロナウイルスの蔓延」という未曾有の試金石によって「終わりを告げた」ということでしょうか。
 
古来、天災人災を問わず、人の命を左右するような大きな出来事によって、人は自らの生き方を問われ、その人その人の価値観と人生観が問われます。昔から複数回の世界的大流行が記録されているペスト、身体が黒くなるので黒死病といわれた病気では、14世紀に起きた大流行で、当時の世界人口の4億5千万人の22%に当たる1億人が死亡したと推計されています。19世紀末に北里柴三郎によって原因菌が突き止められ流行は減りましたが、近年でもペストの感染は続いています。
 
このような感染症で人々の生命が脅かされる事態に出会うと、人は「自分はどう生きたかったのか?」「自分の本当にやりたかったことは何だったのか?」、そして「自分にとって一番大切な人は誰なのか?」といった問いに意識、無意識にかかわらず、向き合わざるを得ないのです。イタリア、ポンペイの大噴火の遺跡を現地で見たことがあります。女性は皆小さな子どもを抱いていたり、子どもの上に四つん這いになり覆い被さっていました。ところが男性は、自分だけでも逃げようとしている姿のまま、掘り起こされています。あのとき見た光景は忘れることができません。
 
あなたの彼はこの新型コロナウイルス感染で「緊急事態宣言」が全国に出されたにもかかわらず、のうのうと両親のいる実家で暮らしているんですよね。しかも、恋人であるあなたは一人暮らし。その上、テレワークで出勤は週一回。心配じゃないんでしょうか?彼の勤務態勢はわかりませんが、少なくとも、恋人であるあなたは7日のうち6日は家にいる。本当にあなたのことを大切に思っていたら、今こそ一緒に暮らそう!と彼の方から言うはずです。
 
ウェブで「#コロナ離婚」と検索すると、不平不満を吐露しているツイートが数多く見られます。「妻が俺と同じ空間にいると“蕁麻疹が出そうなほどいやだ”と言うので、一人台所の床でナポリタンを食べています」「何もせず、きっちり三色食べるだけの夫!?」などなど。一方、結婚相談所では「一人では不安」「結婚願望はあったが、いつかではなく今」という相談が多数寄せられているそうです。婚活関連の会社の株価は急騰しています。新型コロナウイルスの感染拡大により、奇しくも「夫婦とは何か?」「家族とは何か?」という問いが突きつけられることになりました。
第182回

ページ上部へ