男と女のQ&A【親子編】「娘の帰宅時間が遅くなった…」

【Q】
高校2年生と中学2年生の娘がいます。上の娘には同じ学校に通うボーイフレンドがいて、たまにうちに連れてきたりもしていました。とても真面目で優しい少年なので、私も夫も認めていて、夕飯を一緒に食べたりもしていたんです。コロナ禍で学校もいろいろ制約を受けているし、当然のことですけれど、うちに連れてくれば私も夫も強い調子で怒るので、連れてこなくはなったんです。ところが、外で遊びだして、かなり遅い時間まで帰宅しなくなってしまいました。今の状況が分からないような2人ではないと思うので、先日娘にはよく話をしたんですが、その後も帰宅は遅いままです。そんな姉の様子を見て、下の娘もどんどん帰宅時間が遅くなってしまっています。
 
【A】
人は思春期に入ると初恋を経験します。この時期は性ホルモンの分泌が盛んになり、身体的な変化や性衝動がアイデンティティの確立を脅かすことも珍しくありません。アイデンティティという言葉は、日本語では「自我同一性」「自己同一性」と訳され、20世紀にエリク・エリクソンという心理学者が作り上げた概念と言われています。
「自分は誰であるか? Who am I?」「どこへ行こうとしているのか? Where am I going?」とか、「自分が存在していることの認識や価値」「自分らしさや個性」「自分がどういう性格でどんな人間なのか」等々に迷い、考え悩むのが、あなたのお子さんたち、中学2年くらいから大学くらいの年齢です。
 
エリクソンは、「人の発達には、それぞれの年代に「発達課題」と呼ばれる、乗り越えることで人が精神的に発達し、幸福な人生を歩むことが出来る課題がある」と8つのステージに分け課題を指摘しています。
このような急激な心身の発達の中で経験する恋愛は、多くの場合、思うように実らず終わりがちです。お互いにはまだアイデンティティを確立していないため、相手からよく思われたいと強く思ったり、自分に対する評価が気になって関係が長続きしないことが多いのです。
 
しかし、こうした恋愛と失恋がアイデンティティの確立を促すことになり、心身共に成熟した大人へ成長するきっかけとなります。たとえ傷ついても、健全な発達過程には大切な経験となり、自他の欠点も認め合い、精神的に支え合える誠実な人間関係を築けるようになっていきます。
ただ、上のお子さんのように家で会っているということになると、現在のコロナ禍で大きなリスクを背負うことになり、万一感染でもすると2人のお子さんにはほとんど症状がなくても、親であるあなた方夫婦、同居の親族に高齢の方や持病のある方があれば命の危険があることになります。
やみくもに家で会うことを叱っても、思春期の子どもたちにとっては、かえってそれが刺激となりお互いを求め合うようになってしまうこともあります。少年は真面目で優しい子だとのこと。お子さんと2人に丁寧に今の逼迫した医療状況や感染の拡大について、出来ればお父さんも含めて話し合い、会う回数と時間を減らして自宅で会うルール作りをする。下のお子さんにもその様子をきちんと見せるようにしてはどうでしょうか?
第199回

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