【Q】
今回の緊急事態宣言はあまり緊張感が感じられず、夫の仕事も夜の飲み会がなくなったことを除けば、ほぼコロナ前と変わらない勤務になっています。家族の生活も、たまには外食をしたり、子どもたちと買い物に行ったり、7割くらいは元の生活に戻っているように思います。そんな中で1つだけまったく元に戻っていないのが夫との夜の生活です。以前からそれほど多い方じゃなかったんですけど、去年の緊急事態宣言の時に感染リスクを減らすために寝室を別にしたんですけど、それが今でも続いていて去年の3月からセックスレスなんです。夫は「オレは日々感染リスクにさらされながら仕事をしてるから部屋は一緒じゃない方がいい」っていうんです。でもおかしいじゃないですか。家の中ではマスクをしていないし、食事は一緒で同じお皿の食べ物を突っつくことだってある。会話だって普通にしてるんです。コロナを口実に使っているだけで、ほんとは私との関係が冷め切ってるってことですよね。
【A】
「日本性科学会」という医師やカウンセラーを中心とした学会があります。「セクシュアリティは人間にとっての性のあらゆる面を包括する概念で、セクシュアル・ヘルス(性の健康)はこれに関する身体的、心理的社会的に幸福な状態をいいます。日本の性科学会は臨床的な研究や診療を通じて性の健康の推進をはかる専門家の団体です」という学会としての設立趣旨が掲げられ、1979年に「日本セックス・カウンセラー・セラピスト協会」として発足したものです。
この学会が「セックスレス」の定義としてあげているのは次の文面です。今から27年も前に出されたもので、その頃とは環境も人の心身も変わってはいますが、そこにはこのように定義されたいます。
「特別な事情がないにも関わらず(病気や怪我で機能的にセックスができない、遠距離恋愛や単身赴任で物理的にできないなどを除く)カップルの合意した性交あるいはセクシュアルコンタクト(キスやペッティング、裸でのベッドインなどを言う)が1ヶ月以上ないことを指します」。(括弧内は後に付けたもので定義には入っていません)挿入を伴うセックスがなくてもセクシュアルコンタクトに類するものがあればセックスレスとは言わないわけです。
セックスレスと感じたり考えたりする期間は、世界の国々でまったく異なり(性交回数が多いとされているギリシャ人の年平均164回に比べ、日本人の平均は48回という調査もあるので)、セックスレスの定義はそれぞれの人がそう感じた時がセックスレスと考えるべきでしょう。
特に日本人はセックス以外にもいろいろ細やかな愛情表現を持っている世界でも稀な民族ですから、1ヶ月セックスがないからセックスレス、愛情がなくなったと決めつけることもないと思いますが、さすがにあなたのように1年以上も寝室も別、挿入を伴うセックスはおろか、それ以外のセクシュアルコンタクトもないとすると、その原因を考えて対処する必要がありますね。性の不一致は離婚の正当な理由として法律でも認められていますので。
もしかして、次のようなことはありませんか?
「妻が“家族”になってしまった」「パパ、ママと呼び合っている」「性行為は男性がリードして女性に喜びを与えるものとあなた(ご相談者)が考えている」「夫が仕事で疲れている」「子どもがいてタイミングがつかめない」「夫がEDになっているのに言い出せない」「以前に妻に拒否されたことがある」等々。
恥ずかしがらずに夫婦でよく話し合うことが重要です。
第203回