男と女のQ&A【職場編】「いろいろな男と飲み歩ってるからね」

【Q】
社内で誰が最初の感染者になるかって、ずっとささやかれていたんです。そして、とうとうその日がやってきちゃったんです。みんな、絶対自分が最初の感染者になりたくないって思ってたと思います。こういう状況ですから、誰がどこで感染したって不思議はないんですけど、同じ罹るにしても、自分が移す側になるのと移される側になるのでは大違いだし、「どこでうつったの?」って、ひそひそやられるのは分かっているから。もしそれが人に言えないような場所や人だったら最悪ですよ。感染したのは、私から遠くの席の女性なんですけど、感染源はわかってないのに、案の定「いろんな男と飲み歩ってるからね」とあっという間に広がっちゃいました。しかも、男性社員2人も陽性ってことになったものだから大変です。「やっぱりねえ」とまるで3人が三角関係みたいな話になって…。感染した彼女とは、トイレ、給湯室、休憩室なんかは一緒に使ってたわけだから、私も感染してるかも。感染も怖いですけど、社内のこの雰囲気に耐えられるか不安で、出社したくありません。
 
【A】
「男性社員2人も陽性ってことになっている」のにもかかわらず、女性だけが「いろんな男と飲み歩ってるからね」と「あっという間に広がっちゃいました」「「やっぱりねえ」とまるで3人が三角関係みたいな話になって」いて、あなたは「コロナ感染より社内のこの雰囲気に耐えられるか不安で、出社したくない」と言ってのご相談です。
 
その他、「“どこでうつったの?”って、ひそひそやられるのは分かってる」とか、要点になっている言葉を取り出しただけで、あなたの会社の古くて陰湿な体質が伝わってきます。そもそも「社内で誰が最初の感染者になるかって、ずっとささやかれていた」と冒頭にあるのだっておかしいでしょ?
 
今、こんな状況で、どこで誰が感染してもおかしくないし、保健所ですら感染経路を追えない状況になってるんですよ。どんなウイルスなのかだいぶ解明され、マスクをして三密を避けること、十分な喚起を行うこと等、徹底するよう繰り返し政府や多くの首長からメッセージが出されています。とは言え、「まん延防止等重点措置」を出し、飲食店に夜8時までの営業時間の短縮要請されましたが、十分とは言えない支援金に深夜まで営業を続けている店があったり、長引く自粛生活に耐えきれず繁華街の人出が増加したりしています。
 
日々の感染者数も減るどころか、むしろ増加傾向で、爆発的な感染者増が心配される中、3度目の緊急事態宣言も視野に入ってきてしまいました。ワクチン接種も思うように進まず、摂取率は他国に大きく後れを取っており、国民はおろか、摂取をになう医療従事者にさえ行き渡っていないのが現状です。小池都知事は、スーパーでの買い物は3日に1度、企業はリモートワークを中心にし、都外の方は都内に来ないでくださいと訴える始末。医療従事者の方は「医療崩壊は始まっている。コロナ以外の入院患者は受け入れられなくなりつつある。救える命も救えない」と悲痛な表情で訴え続けています。
 
世界中が未曾有のウイルス感染に襲われ、一致団結して当たらなければならない時に、「いろいろな男と飲み歩ってるから」などと言っている場合ではありません。あなたも「濃厚感染=男女の深い関係」と勘違いしていませんか?換気が不十分な狭い室内に一緒にいるだけで濃厚接触です。決して身体と身体が触れ合うことではないのです。
はっきり申し上げて、会社の雰囲気が古くて陰湿なだけではなく、あなた自身の感覚が古くて陰湿なんです。まずご自身の意識改革をしてください。そして、もし会社の中に同じような意識の人がいたら、「あなただって、いつ、どこで感染するか分からない。感染してしまった人を励ましましょう!」と伝えでください。
第206回

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