男と女のQ&A【夫婦編】「自分の中に爆弾を抱えている私」

【Q】
コロナ禍のオリンピックが終わりました。政府の言う「安心安全な大会」が実現したかどうかは、立場によって受け止め方が違うでしょうけど、大会関係者の陽性者数は、想定の範囲内ということだったみたいですね。でも、繰り返し聞かされる「安心安全」が「オリンピックが安心安全で開催できるなら、俺たちだって感染対策をしっかりすれば出歩いてもいいんだ」というメッセージになってしまって、感染爆発になってしまった気がします。そんな中でも、私は「感染対策をすれば出歩いてもいい」派、夫は「感染対策をするしないにかかわらず外出自粛」派。この考えの違いってけっこう大きいんです。毎日家事のために外に出なくてはならない私と仕事以外は外出しなくてすむ夫では、出歩くということの意味が少し違う気はしますけど、夫は私が百貨店に買い物に行くのも気に入らないらしく、買い物の袋を見つけると何時間も嫌みを言い続けるんです。私は私なりに自粛してるつもりなのに、夫があまりにも嫌みを言い続けるので、先日とうとう私の気持ちが切れて、壁にグラスを投げつけてしまいました。その破片が夫の腕に当たって出血してしまったんです。夫が怪我をしたりすることは私の本意じゃないですけど、夫の物言いは我慢が出来ないので、自分の中に爆弾を抱えているようで、毎日が憂鬱です。
 
【A】
コロナ禍の「外出自粛」に対する考えの違いが「けっこう大きい」とあなたは言っています。今までも、今回のコロナ禍での外出自粛のことのような何か「大きな考え方の違い」が夫との間にありませんでしたか?そして考え方の1つの「癖」として「~しなくてはならない」があるようですね。「毎日家事のため外出しなくてはならない」というような…。
 
私たち人間には一人ひとり違う考え方や感じ方があるのは当り前ですが、その考え方は「人それぞれの思い込み」に基づいています。ですから、「世界はその人の思ったように見えている」のです。「外出自粛」で夫と「大きな違い」があり、夫が百貨店の袋を見つけて何時間も嫌みを言い続けるのも、「夫の思い込み」の癖です。
 
夫はあなたが百貨店に行けば、かなり高い感染リスクを持ち帰ると思い(これは夫の思い込みだけではなく数値的にも実証されていますが)、そのことに対し「何時間も嫌みを言え」ばあなたが反省するか、恐れ入って、百貨店に行くのを止める、と考えているのです。これは夫の思い込みです。そして究極のあなたの思い込みは「夫の物言いに我慢できない、その時は物を投げる」というものでした。その結果、割れたコップの破片が夫の腕を傷つけてしまったわけです。
 
それが2人の「大きな考え方の違い」を歩み寄らせたとは到底思えません。あなたは「自分の中に爆弾を抱えているようで毎日が憂うつ」と言っています。先ほどのように、何か事が起こるとすぐ「~しなければ」と思ってしまう考え方のことを「自動思考(スキーマ)」と言います。これは幼少期の体験の中で習慣化した考えが、何かにつけて自動的に出てきてしまうことを指します。自分の物の見方や考え方、感じ方は自分で選択しているものですから、どの感情や考え方を選択するか決定しているのは自分なんです。
そしてどの感情、どの考え方を選択するかによって行動が変わります。行動が変わると人生が変わります。あなた自身が世界を、物事をどう捉えたかで自分の人生を変えることができるのです。
 
もしかするとあなたは「アダルトチルドレン」と呼ばれる、幼少期に厳しい父か母、又はそれに代わる養育者によって、素直に自分の思いや考え、感じ方を言えず、自分でやりたいこともできずに親の顔色を伺っていたのかもしれません。その頃の考え方、感じ方、行動の癖が自動的に大人になった今も出てきて、周囲に起こる悪いことだけに注意を向けていたのかもしれません。
このことをキッカケに、ご自分の内面に向き合ってみてください。
第213回

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