男と女のQ&A【恋愛編】「やってやってるアピールの彼」

【Q】
彼と旅行に行ったんです。久しぶりで、それなりに楽しい旅行にはなったんですけど、宿での食事とかサービスエリアでの食事とか、いろんなカップルを見てるうちに、他の男性の態度と彼の態度がすごく違う気がして気になったんです。どの男性を見ても振る舞いが自然なんですけど、彼は不自然。「やってやる」みたいな恩着せがましい態度に感じるんです。気になり出すとすべてそう感じちゃって。例えば、フードコートで食事をしようとした時なんて、他のカップルは、ブザーが鳴るとスッと男の人が立って窓口まで取りに行くのに彼は必ず私に「俺が行こうか?」って聞くんです。水を取りに行く時もそう。「水飲む?」って聞くんです。水なんて飲んでも飲まなくても持ってくればいいじゃないですか。レストランで水を持ってくる時「飲みますか?飲みませんか?」なんて聞かないですよね。彼は私に「やってやってるアピール」をしたくて何かしてくれるんだなって思うんです。他の男性を見れば見るほどがっかりします。今の彼の優しさはただの振りで、結婚したら激変するタイプなんじゃないかって、今回の旅行で不安になりました。
 
【A】
彼の行動によく気がつきましたね。一昔二昔前は、女性が水や料理を取りに行くのが当たり前、そうすることが「気がつく女性」「気配りのできる女性」という感覚が、男性はもちろん女性の中にもありました。しかし、女性が社会進出するにつれて、そういった習慣や文化は少しずつですが変化して、男性が家事育児をするのは「おしゃれ」「かっこいい」「優しい」と肯定的に受け止められるようになりました。
 
総務省の「社会生活基本調査」(H28)では、6歳未満の子どもを持つ夫婦の男性の家事育児関連時間は、2011年は2006年より7分増加、2016年はさらに16分増加し、68分になっています。ただ、その年の妻の家事育児関連時間は414分で男性の約6倍なのです。女性の家事の中には夫の母の介護なども含まれていて、まだまだ日本では結婚して子どもができたり、親が高齢になったりすると、それらの家事育児は女性の仕事となっています。先ほどの総務職の調査は6歳未満の子どもがいて、夫婦共働きの時の統計です。
あなたが「やってやってるアピール」をしている彼に結婚後の不安を感じるのは当然ですね。女性の社会進出が提唱されて久しい中ですが、アンペイドワーク、無償労働と呼ばれる家事育児は主に女性の役割という構図はなかなか変わらないようです。
 
ジェンダーギャップ指数が114位と低いことから見ても国際的に比較すると男女の家事育児に関わる時間の差が先進諸外国では女性2に対して男性1程度の割合なのに日本は5~6倍になっています。ただし男性の味方をするならば、男性の有償労働時間が女性に比べて長く、2020年の日本男性の1日あたりの有償労働時間が452分(7時間32分)とOECD(経済開発機構)の国際平均317分(5時間17分)を大きく上回り、最も長時間なのです。日本の女性もOECD平均を1時間近く上回る272分(4時間32分)という長さですから、日本の男性も女性も国際平均から見ると働き過ぎ、特に男性は働き過ぎもあって、女性をいたわる習慣や文化が根付きづらいのかもしれません。もちろん収入の男女差の影響もあります。
 
あなたも、自然な振る舞いで水や料理を持ってきてくれる男性を探し直すのもよし、日本の男性の男尊女卑的な習慣や文化を彼とともに考え直して、彼が内面から自然にあなたを支えてくれるように2人の関係を再構築するもよし。それができたら小さな社会改革になるかもしれません。
健闘を祈ります!
第222回

ページ上部へ