【Q】
毎年友達夫婦と居酒屋みたいなところで忘年会をしてました。去年は中止にしたんですけど、今年はお酒中心じゃなくフルコースのディナーでやることになって3組6人で集まることになりました。夫と外で食事をするのも久しぶりだし、6人で集まるのは一昨年以来だから、女3人で綺麗にしていこうねっていうことになりました。早めに出かける準備をしていたら、目の前で化粧をしているのが目障りだったのか、夫が「まだ早いだろ」ってうっとうしそうに言うので、しばらく支度を中断して30分くらいして再開したんですけど、今度は夫の支度がすんじゃって「まだか」ってせかすんです。食事会ですからマスクも外すし、外した後のことも考えてメークしなきゃだし…。「1時間くらいは大丈夫でしょ?」って言っても何度も「まだか」ってせかされて、20分くらいしたところで「もう出るぞ!」って大声で怒鳴られました。「まだ早いだろ」って言ったのは夫だし、さすがに私も切れちゃって怒鳴り合いになったんです。結局夫が先に出て、私も急いで出たんですけど、30分近く遅れる始末。楽しみにしていた食事会だったのに、みんなに迷惑はかけちゃうし、最悪の食事会になってしまいました。
【A】
よく「女の化粧は長い」と言われますが、「女」としてくくられると少し違う気がします。女性でもほとんど化粧をせず、夫のひげそりの時間より早く支度が終わってしまう人もいます。相手に失礼のないように精一杯の化粧をして出かける。そうすることで自分も気分が高揚して楽しくなる。それが化粧の効用でしょうか。
そもそも化粧は女のするものというのが常識(最近、化粧をする男性も増えました)ですが、日本では3世紀後半の古墳から赤い顔料で顔や身体に化粧を施した男性の埴輪が出土したり、武士が戦いに挑む時、鎧の下の顔に化粧をしている記述が見られたり、歌舞伎では男性も濃い化粧をします。世界では旧石器時代から獣の脂を塗って顔料を呪術の意味にしたり、先住民の中には男女ともタブーゾーンを化粧で色分けして示している人たちもいます(デズモンド・モリス「人間の行動学」)。
というように「化粧の起源や歴史」を綴ってみましたが、あなたの不満は、夫から「化粧」のタイミングやそれにかかる時間について「まだ早いだろう」と「うっとうしがられ」たかと思うと「まだか?」と「せかされ」、最後には「もう出るぞ!」と大声で怒鳴って先に出ていってしまった夫の一連の言動ですよね。あなたの夫は生活の全てでまさに今回の化粧に関わるタイミングや時間をあなたの立場で考えず、すべてを自分本位に考える人ですよね。
自分がこうあってほしいというタイミングと時間をはずされるとイライラして「早い!」と言ってみたり、「遅い!」と怒鳴ってみたり。今まであなたが何とか合わせてきた結婚生活だったんですよね。極論を申し上げれば、この際別れた方がいいと思います。ジェンダーギャップの激しい日本の社会では、離婚は簡単ではないかもしれませんが。
あなたがお仕事に就いていて、自分の収入だけで充分生活できるなら、きっぱり夫の自分本位で、勝手な言動を慎んでもらうよう話してみてはどうですか?もし収入のない主婦ならば何か仕事を見つけて少しでも自立できる立場になりながらということにならざるを得ないかもしれませんね。お子さんがいらっしゃるとしたらもっと離婚はしづらいでしょうが、このままでは男女どちらのお子さんの教育も最低のものとなってしまいます。お子さんたちに「男は自分勝手に振る舞い、女はそれに従わねばならない」という見本を示しているわけですから、なんとか改めてもらうようにしてください。
第223回