男と女のQ&A【子親編】「父と母の関係がこんなにも悪いとは…」

【Q】
父が新型コロナウイルスに感染して入院しました。子どもたちも独立して、今は父と母、私と夫の4人暮らしなんですけど、食事もなるべく時間をずらしたり、離れた場所で取るようにしていたおかげか、父以外はPCR検査陰性で、父がどこで感染したのかわかりません。出歩く習慣もない人なんですけど、以前は公民館の市民講座に通って、そこで知り合った人たちとお茶してきたりもしてたので、もしかするとそのころの人たちとまだお付き合いがあるのかもしれません。母は、女性も混ざっているせいかそのころの人たちとのお付き合いを快く思っていなかったみたいで、父に対して「自業自得」という態度で、入院していることに対しても心配しているというより「せいせいした」と感じているようにしか見えません。父が感染したことで父と母の関係がすごく悪かったんだっていうことがわかったんですけど、病院に様子を見にも行けず心配なんですけど、退院してきたあと、父と母にどう接したらいいか困っています。
 
【A】
あなたは「父が退院してきたあと、父と母にどう接したらいいか困って」ご質問をされているんですよね?
結論から言うと、「ご両親お二人のことはお二人に任せてください」ということです。
大人であるお父様とお母様が長年かかって夫婦関係を築いてきた結果、こういう関係が出来上がっているのですから、それをどう再構築なさるかはあなたが「困る」問題ではありません。にもかかわらず、あなたが「“困って”問題視していること」、そのことが「問題」です。そして、何か「問題」だと感じることがあなたに起こってきた時、それはその「問題」があなた自身に何かを訴え、考えさせようとして「問題」として出てくるのです。
 
今回、あなたに何か言いたくて出てきてくれた「問題くん」をまとめてみましょう。何か問題が出てきた時こそ、あなたが考え、自分が変われる時なので、「問題」を大切に扱っていただくために「問題」に「くん」をつけることにします。これはブリーフセラピーと呼ばれるものの1つのやり方です。
今回のあなたに出てきてくれた「問題くん」は、「父と母の関係がこんなにも悪かったんだ」ということですよね。この「問題くん」はあなたに何を言いたくて出てきたのか?
 
①あなたはこんな仲の悪い父と母に育てられてきたんです。それじゃ家庭が安心基地としての役割を果たしていなかったですよね。だから今まで生きてきていつも心配ばかりしてきたんですね。子どもは外で何か失敗しても家に帰れば「よしよし」と話を聞いてくれる父や母、暖かい家庭があって、また外へ飛び出していけるものです。それがあなたにはなかったんですね。それでもよくここまで頑張ってきましたよ。
②もしかして私と夫もどちらかがコロナなどで入院したら、父と母のように「せいせいした」という関係になっていたらどうしよう。「私の知らない夫」がいたらどうしよう。
 
等々、心配になっていますよね。あなたは自分の父と母の関係にあなた自身の夫婦像を見ているのです。
さあ、お父さんが退院してきたあとのことはお二人に任せて、あなたはこれまでと同じように接してください。そしてせっかく、今回のことであなたに何か言いたくて出てきてくれた「問題くん」の声なき声をしっかり聞いて、自分の生育歴からくる「心配症」、そして「私の知らない夫」さんをもう一度理解するように努力してみてはいかがでしょうか。
第225回

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