男と女のQ&A【子親編】「同居してやるって言ってるのに“嫁とはね”」

【Q】
結婚して15年、42歳になります。夫の両親とは割と近くに住んではいるんですけど、お義母さんの負担も大きいだろうと、2年前同居を前提に2世帯で暮らせるようキッチン、トイレ、浴室が2つずつある家を建てました。義父とは同居の話もしていたので、まさかとは思ったんですけど、義母に反対されてしまいました。義母は、建築の費用を自分たちに半分くらい出させようと私が企み、夫を説得して2世帯住宅を建てたと思っているらしく、夫とは口をきくのに私とはそれ以来1度も口をききません。費用のことなんて言ったことも考えたこともないんです。どちらかと言えば、夫が同居に積極的で私はむしろ反対だったんです。私の本音は、費用を全部もってくれても、長い間私が介護をしなければならなくなるかもしれない同居は嫌です。義母は周りに「息子と孫とは同居してもいいけど、嫁とはね…」と言っているそうで、私も義母に「こっちが同居してやるって言ってんだよ!」って言ってやりたいです。
 
【A】
まったく!
あなたの怒りはもっともです。自分の親さえろくに面倒看てやれないのに夫の親と同居して24時間勤務で看てやろうというのに何よ!
その「息子と孫とは同居してもいいけど、嫁とはね…」っていう台詞!
 
あきれてものも言えない…。でも言わないと腹が立つから言うけど、「息子におむつを替えてもらえば?!あなたたちとの同居に積極的だった親孝行息子のことだから、きっとあなたのおむつくらい替えて、おしりを拭いてくれるでしょうよ!」「えっ、息子にそんなことさせられないし、自分も恥ずかしくて嫌だ?!でしょ、でしょ?!そうやって結局最後は嫁の私にその仕事が回ってくるわけ。長男の嫁なんだから、やって当たり前?!そんなこといつから誰が決めたのさ?!」
 
家父長制になってから、私たち女は幼いころは父親の言うことをよく聞き、おしとやかで優しく、兄たちがウナギを食べていても私たちは安いサンマ。いたずらをしても兄たちは叱られないのに私たち女の子は「そんなにおてんばだといいところにお嫁に行けませんよ!」と叱られる。おとなしくしていてやっと「いいところ」へお嫁に行けたと思ったら夫が「白いものを黒」と言えば、私たちも「黒」と言わなくてはならない。その夫との間に出来た子どもは正真正銘夫との間の子どもなのに、「おれは仕事が忙しい、子育てはおまえの仕事」と今で言う「ワンオペ育児」を強いられ、たまにお風呂に入れただけで、「おれは育児を手伝ういい夫だろっ」と豪語する。「手伝うって何?あなただって子どもを作った当事者でしょ!」
 
日本では、家事、育児、介護、これらは当たり前に女の仕事です。そして一銭の対価も支払われない「アンペイドワーク」です。男たちが命がけで家族のために洞窟からマンモス狩りに行っていた大昔ならいざ知らず、未だに「アンペイドワークは女がやって当たり前」という感覚が残っています。そしてその中でもこの「夫の両親との同居」は、もっとも夫婦関係に影響していて、姑と同居している人の8割以上がストレスを感じると回答していて(ハルメクWEB)、離婚に発展することもあります。
お義母様は、自分がアンペイドワークで苦労してきたので、嫁がそれをしないのは腹立たしいのでしょう。あなたはお義母様と育った時代が違う上に環境や価値観まったく違う赤の他人。幸いキッチン、トイレ、浴室が2つずつあるとのこと。まず物理的距離を置いて、女同士ということで少しずつ仲良くなってください。それにはあなたの夫があなたとお義母様の間に入って関係を築くのではなく、あなたが夫とお義母様の間に入るような人間関係になるよう努力してみてください。
第230回

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