男と女のQ&A【職場編】「おだてないと機嫌が悪いおやじ」

【Q】
うちの会社には2つのタイプの「昭和おやじ」がいます。1つはこちらから一言言うと100言くらい返してくるタイプ。何か提案しても延々とああじゃこうじゃ言って、自分の考えでこっちを納得させようとするんです。一度でもそういうことがあると「もうなんにもいーわない!」ってなりますよね。どう考えても会社には害。何も言わなければ私には関係ないかなって。もう1つは、女性がおだてないと機嫌が悪いタイプ。女性社員からおだてられるのが好きで、若くてかわいい女性社員が声をかけたりすると鼻の下伸ばしちゃってデレデレしちゃうわけですよ。出社してすぐ「今日のスーツ、決まってますね」なんて言っとけば1日中ご機嫌。それって、ちょーセクハラなんだけど、「俺は女性社員に優しい」って思ってるみたいで、セクハラと思ってないみたいなんです。困るのは若くてブリッ子してる女性社員がお世辞を言っちゃうもんだから、いい気になってすぐ身体とか触るんです。「よくやった」とか言いながら肩に手を置いたり、必要もないのに握手を求めてきたり…。悪気はないみたいなんで「それってセクハラです」とも言いにくいし、元はと言えばブリッ子してる女の連中が悪いわけだから、そこを絶たなきゃって思うんですけど、どうしたらいいか…
 
【A】
企業で働く人達は困った上司に日頃から悩まされている方も多いようです。特にご相談の「昭和のおじさん」に多い傾向があります。
「昭和」という時代は前半の20年までは「産めよ増やせよ」「国家総動員法」「ぜいたくは敵だ!」「欲しがりません勝つまでは」と耳にタコができるくらい、叩き込まれて育ち、その勢いで第二次世界大戦に突入し、負け戦さにもかかわらず、必ず神風は吹くなどと言われ「お国のために生命を捨てる」のが名誉と教え込まれていました。300万人にも及ぶ戦死者を出して降伏した昭和20年8月15日の玉音放送を多くの国民はよく聞き取れないラジオで頭を垂れて聞いたものです。
 
戦後、それまでの価値観が180度転換し、教育においても「民主教育」という逆転したかの様相の中で大人たちは混乱し、その混乱した価値観の中で育てられた子ども達が、今や「昭和のおじさん」などと言われて企業で困った存在になっているわけです。
よく言われる困った昭和のおじさんタイプを4つ上げると①威圧的な態度をとる②論破しようとする③嫌みを言う④若者を見下す、と大妻女子大准教授の田中俊氏は言っています。まさにあなたの言う前者の「昭和のおやじ」は、この②自分の考えでこっちを納得させ、論破しようとするタイプですよね。後半の女性がおだてないと機嫌が悪いタイプ、共に、価値観の大逆転した父親、もしくは祖父に育てられ、戦前の「男らしさ」を引きずり、男らしいとは「男が稼いで女、子どもを養う」「男は強くて弱音を吐かない」等々の男らしさから脱却できず、なのに時代はドンドン変化していき自分は追いついていない…と不安になる。「なりたい職業はYoutuber」「飲み会拒否の定時退社」「副業」「男性の育休」等々。
 
携帯やパソコンもやっと慣れたかと思うと新しい機種が出て、気づいたときには置いてけぼり。会社は勿論、家に帰っても子ども達にまで「お父さん、何言ってるの!時代遅れ!」と言われる。要するに自信を失っているのです。
外面は何でもわかっている風を装って威厳を保っていたいのですが、内面はビクビクです。だから威圧的に論破しようと「ああじゃ、こうじゃ」言い募り、若い女子社員におだてられるとご機嫌。気を許してセクハラをしてしまうんです。
「昭和のおじさん」には自分を見直してもらう必要があります。思い切って「それはセクハラです」と言ってみましょう。「昭和のおじさん」が手遅れの会社のお荷物にならないうちに。
第236回

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