【Q】
大学のサークルで知り合った彼と2年間付き合いました。私は別れたくなかったんですけど、彼の方に別な彼女が出来てしまって別れました。二股かけられてたんだと思います。すごくショックで立ち直れなくなっていたんです。そんな私を見て、友達が「メン地下」のライブに誘ってくれました。その時は雰囲気に飲まれてただびっくりして帰ってきたんですけど、1人気に入った男の子がいて、もう一度行ったらすっかりハマってしまいました。アイドルが手の届く距離で歌ったり踊ったりするのは興奮するし、ライブのあとのチェキ会でツーショット写真も撮れる。何千人、何万人なんていうライブとメン地下ライブは全然違って、チェキ会では肩を抱いてくれたりハグしてくれたり、指チュウもしてくれます。でも1枚写真を撮る度にお金がかかるので、これまでに数百万円使ったと思います。これは「ごっこ」なんだって分かってるし、このまま続けていたら経済的にも破綻するのも分かっるんですけど、彼氏との別れは辛かったので、恋愛で辛い思いをするのは嫌って思うと、抜けられなくなってしまいました。
【A】
「メン地下にハマってこのままでは…」というご相談です。「メン地下」に巨額のお金を使い込んでしまう10代もいて社会問題になっています。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「メン地下」とは「メンズ地下アイドル」の略です。繁華街でビラ配りやSNS等での営業勧誘、ライブ入場料は無料というところもあります。
こうしたライブやイベントを主な活動の場としていて、メディアへの露出は少なく、歌や踊りを売りにせず、「チェキ撮影」で2人の動画を撮ったり、「指チュウ」という指を唇の間に立ててのキスをしたりすることで稼いでいます。ピン動画(30秒程度)で30pt(1pt=1000円)、2人動画(やはり30秒程度)で50pt、300pt使うと便せん1枚程の手紙、500ptで「指チュウ」とか1時間デート、1000pt以上でカラオケや3時間デートなどといういうところが多いようです。1ptが1000円なので、3時間のデートには100万円かかるということです。
こうした支払いのお金を援助交際やパパ活、家のお金を持ち出すなどして捻出していることも少なくないこと、そばに寄ってくる10代の少女にわいせつな行為をするメンバーもいることなど社会問題になっているのです。
こういう過剰な「推し活」で自分を見失い、1人のアイドルに「リアコ」(リアルな恋)をしてしまう人もいます。
甘い言葉をかけてくれるのも、あなたの肩をぎゅっと抱きしめて「チェキ」してくれるのも、すべてお金のため。それが分かっていても、破れた恋、裏切られた悔しさ悲しさを忘れるための刺激ほしさに、これは本当の恋ではないと知りつつ「リアコ」してしまっているあなた。それに気づいて使った金額の多さと引き換えにしたのは「虚しさ」でしたね。この相談をきっかけに、この危険な「リアコもどき」から抜け出しましょう。
ptを買うために会社が終わったあと、居酒屋やキャバクラなどでアルバイトをしたり、パパ活をしようと考える前に目を覚ましてください。そして恋に破れた苦しさ、二股かけられた悔しさ悲しさ虚しさ、1人になった寂しさ、つらさなど、すべてのネガティブな形容詞を否定するのではなく、抱え込んでいる自分と一緒にいてあげてください。一晩でも二晩でも眠れない夜を明かしてください。
その時、あなたの手も足も傷ついたあなたの心も、あなたと「共にある」「傷ついている私も私」と気づいて大切に抱きしめてあげてください。その時間こそあなたをより美しく優しく成長させてくれますから。
第252回