男と女のQ&A【夫婦編】「家に帰りたくない自分がいる」

【Q】3年間交際して、4年前に結婚しました。妻の前にも数人の女性とお付き合いしましたけれど、妻ほどピタッとくる女性はいなくて、妻との出会いは運命的な出会いだったんだ、そんな風に思っていました。結婚前はほんのちょっとでも長く一緒にいたい、そんな気持ちが強くて、仕事中も妻のことが気になって仕事が手につかなくなることもありました。妻との間に子どもができて、「家族」ってなったらどんなに幸せだろうって夢見ていたんです。結婚して2年目に子どもができました。女の子です。もうじき3歳になります。夢見ていた幸せそのものなんです。仕事が終わるととにかく急いで家に帰る、そんな日が続いたんです。
ところが最近、早く家に帰りたいという気持ちと帰りたくないという気持ちが心の中で葛藤しているんです。最近では、真っ直ぐ家に帰る日よりもどこかに寄って1杯やっていく日の方が多くなりました。妻のことを愛していることに揺らぎはないし、子どものことも「目の中へ入れても痛くない」というほど可愛くて、なぜ帰りたくないという気持ちが自分の中に存在しているのか分かりません。
 
【A】11月22日は「いい夫婦の日」。こう名付けたのは、1988年に公益財団法人余暇開発センター(現・公益財団法人生産性本部)です。“夫婦で余暇を楽しむライフスタイル”を提唱し制定したことが始まりです。11月22日の語呂合わせですが、果たしてこの日が夫婦の絆を確認する機会になるのでしょうか。
 
夫婦の満足度に関する調査では、海外の論文では、「結婚直後に高かった満足度が徐々に下がり、年を経ると再び上がる「U字型推移」の仮説が注目されたが、後の研究で米国などでは否定されたらしい」(11月22日朝日新聞)とあり、続けて日本での全国調査分析では、夫婦の満足度は年を経るに従って下がる一方、子どもが巣立っても歳を重ねても好転しない。「何もしなければ徐々に悪化していくのが自然の摂理」と書かれています。
 
リクルートブライダル総研の調査では、夫と妻でも差があり、夫全体で70.2%、妻全体で66.7%と夫のほうが3.5ポイント高く、40代を境にこの差は広がり、60代では夫75.7%、妻66.9%と、その差は8.8ポイントに広がります。この数字が高いと感じるか低いと感じるかは、人それぞれと思いますが、日本のジェンダーギャップは大きく、男性の役割、女性の役割を決めつける人が多い中での数字であること、結婚しないという選択をする人、特に女性が増えていることも考慮しないと、社会全体の結婚、夫婦に対するイメージはつかめないと言えるでしょう。
 
さてあなたは、結婚4年目とのこと。昔「3年目の浮気」という歌がありました。結婚3年前後は新婚時代の熱愛が冷め、相手の嫌なところが目についたり、結婚生活にマンネリを感じたり、夫婦の関係性が変わり始める時期でもあります。もうじき3歳になる女の子も生まれ、「目の中に入れても痛くない」ほど可愛い。なのになぜか最近、真っ直ぐ家に帰らない日が続く。早く帰りたい気持ちと帰りたくない気持ちが自分の中で葛藤している…。
 
夫のあなたがこういう葛藤に揺れている時、妻はどんな状態で、どんな気持ちでいるか考えたことはありますか?「妻のことを愛していることに揺らぎはない」と言っていますが本当でしょうか?妻は2年目に妊娠、出産。以来3年近く初めての育児で「母」としての責任や授乳、それに続く離乳食、仕事を持っていれば育児休暇から仕事へ復帰する時期でもあります。
 
関係がギクシャクしている夫婦からよく聞こえてくるのは、「男と女から、パパ、ママになってしまった」という声です。この時期は、男性であるあなたと女性である妻が「父」「母」へと変化しなければ子どもは育てられません。「目の中に入れても痛くない」とだけ言っているあなたは立ち位置が違います。ここが「幸せな家族」を夢見ていたあなたの踏ん張りどころです。たまには子どもをどこかに預けて、「男と女」に戻ってみるのもいいかもしれませんね。
 
「何もしなければ徐々に悪化」していくという指摘の後に、「それでも、打つ手はある」と続けて、「会話、情緒的サポート、夫の家事」が増えれば、夫婦とも満足度は上昇したと西野理子著「夫婦の関係はどう変わっていくか」を朝日新聞の天声人語は紹介していました。
 
あなたに今必要なのは、あなたも家族の一員であり、家事も育児も妻だけの仕事ではなく、あなたの仕事でもあるという意識を持つことです。そうした意識をしっかり持てれば、妻との関係もより良いものになり、また「早く帰りたい」と思えるようになると思いますよ。
第268回

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