男と女のQ&A【子親編】「義父がヘルパーにセクハラ?」

 
 
 
 
【Q】
82歳の義父と80歳の義母が我が家から車で20分ほどのところで2人暮らしをしています。一時同居も考えましたが夫と私というよりは、両親が同居を望まず、将来の施設入居も見据えて今の状況になっています。
先日、ヘルパーさんをお願いしている会社の方から連絡あり、義父が義母の見ていないところでヘルパーさんの身体を頻繁に触るので、ヘルパーさんが行きたがらなくて困っていると言われました。義母に直接は話しづらいらしく私に連絡があったのですが、私から義母に話したところ義母は「お父さんはスキンシップくらいのことと思って触っているのに、ヘルパーがうまく処理できずに大げさに会社に伝えたんだと思う」と言うんです。義母は義父が悪いのではなく、ヘルパーの能力がないと言いたいようなんです。実際そういうこともあるかもしれませんけど、ヘルパーは今の方で4人目で、今後もそういうことが続くようだと来てくれる人もいなくなるだろうし、私が間に入って誰にどう言えばいいのか対処に困っています。
 
【A】
義父母のことで、その2人の息子の妻であるあなたが、ヘルパーの会社からのクレームで困っているんですよね。おそらくヘルパーの会社としてはあなたではなく、義父の息子であるあなたの夫に連絡をしてきたのではないですか?あなたのお話から、女性であるあなたが両親の介護を担わされている構図が浮かび上がってきます。
 
本来、会社が義父、本人に注意すべきところですが、義父の気持ち、その後のヘルパーとの関係等を考え、義父に直接ではなくあなたの夫(結局対応はあなたになったわけですが)に連絡してきたのでしょう。ヘルパーの会社からすると、あなたが一番話しやすいと考えたのかもしれません。ただ、あなたには相当負担なことであり、また解決の難しい問題でもあります。直接義父には話しづらいですし、あなたが義母に話せば、義母との関係を壊しかねませんよね。義父母は認知症、もしくはそれに近い状況という様子ではないようなので、夫から父親にきちんと話してもらってください。
 
ヘルパーさんが4人目ということなので、義父のセクハラは事実であり、以前から今に至るまでセクハラが行われていたと思われます。訪問介護のホームヘルパーさんが、施設で働く介護職員と決定的に違うのは、サービスを利用する人の家に「1人で」行き、排泄や入浴などの身体介護、調理や清掃などの生活援助を行う点です。ヘルパーさんは女性が多く男性の利用者からセクハラを受けるケースが以前から問題になっています。「義母の見ていないところで」とのことですから、義父は「してはいけないことをしている」という認識は充分あります。義母に伝えて、彼女の言い訳(夫をかばおうとするのか、判断力が劣っているのかどちらにしても)を聞いている場合ではありません。義父が高齢であっても、これは訪問介護者に対するセクハラの加害者ということです。
社会のヘルパーに対する偏見、「何でもやるお手伝いさん」「女性なら誰でもできる家事の延長」という思い込みがホームヘルパーのなり手を少なくしています。人手を確保できなければ、「自宅でそれまでと同様の生活したいをしたい」と望む高齢者を支えることはできなくなります。サービスの提供ができなくなって一番困るのは利用者本人です。
 
ヘルパーの会社がヘルパーを守るために必死になるのは当然ですが、介護される側、またその周辺の人たちが「介護に携わる人に敬意を持って接する」ことが大切です。今回のケースでは、すぐに夫に報告し、夫(息子)から義父に「これが続くようなら訪問介護は無理」としっかり伝えてもらいましょう。義母も義父の様子から逃げいているようなので、一緒に話してもらうことが必要です。もし、義父が認知症が原因でセクハラを行っているようならお医者様との連携も必要ですね。
第270回

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